エメラルドは緑柱石(ベリル)という鉱物からできています。同じベリル系の宝石では、淡いブルーのアクアマリン、ピンク色のモルガナイト、黄色のヘリオドール、無色透明なゴッシェナイトがあります。その他の緑柱石は単にベリルと呼んでいます。古代ヨーロッパでは、エメラルドはエジプトでしか採れませんでした。インドでは第二次世界大戦中に発見され、ソ連では1830年ウラル地方を襲った台風の爪痕から偶然発見され、今日ウラル・エメラルドとして知られています。古来、エメラルドの透き通った緑は、木々と結びつけられて考えられていました。木々が育つのは生命力という力がそこにあるからだと考えられ、生命力は緑色で表現されました。エメラルドは生命力のパワーが凝集していて、植物のように枯れたりせず永遠のパワーを持っていると信じられていました。さて、この生命力とはどこからやってくるのでしょう。遠い昔の人々は、夜明けと夕暮れに輝く明星「金星」からくると考えました。太陽は命を育む星、明星は毎日生まれては死ぬ太陽の前に立って命の種子をまく星でした。ですから太陽信仰と金星、緑の信仰は密接な関係にあります。ギリシャ・ローマでは、金星は美と愛の女神ヴィーナスの星とされているように、緑は男女を結ぶ愛の色、エメラルドは愛の守護石でした。また、キリストの最後の晩餐に用いた聖杯はエメラルドでつくられていたともいわれています。聖杯をつくった原石は、魔王ルシファーの王冠に飾られていたのです。大天使ミェカルはルシファーと戦いエメラルドを手に入れました。キリストが処刑されたとき、傷口から流れる血をこの聖杯で受けたと伝えられています。